安倍総理は3月4日の夜に、野党党首に新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、総理大臣が「緊急事態宣言」が可能になる法改正を呼びかけました。
新型コロナウイルスの国内感染は、一向に収まる気配を見せてなく日に日に感染が拡大しているので、とにかく迅速な対応を行って感染拡大を収束してほしいと願うばかりです。
ここで安倍総理の提案している「緊急事態宣言」に関係することとして「非常事態宣言」や「緊急事態の布告」と言った言葉が入り乱れています。
WHOからも「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」が宣言された事により、余計わかりにくくなっていますよね。
そこで、「非常事態宣言」「緊急事態宣言」「緊急事態の布告」の意味と違いは何かについて調べてみました。
非常事態宣言とは?
「非常事態宣言」とは、国家運営が危機的状況に陥った時に政府が宣言するものを指します。
同時に「特別法」を発動する場合があります。
過去「非常事態宣言」を宣言した例として、2010年に宮崎県で起きた口蹄疫の流行の時に当時宮崎県知事だった東国原英夫氏が「非常事態宣言」を宣言しています。
今回の新型コロナウィルスの国内感染が広まる状況では、国家運営が危機的状況に該当はしますが、次に示す生命や健康に危険が迫っている緊急の状態にも当たるので「緊急事態宣言」という言葉が出てきているものと思います。
緊急事態宣言とは?
最近、安倍総理が口にしている「緊急事態宣言」ですが、本来の目的はWHO(世界保健機関)が専門家による緊急委員会というものを開いて、その場で「国際的に懸念される緊急事態」に該当するかについて協議して宣言するものを指します。
「緊急事態」と言うのは、生命や健康に危険が迫っている緊急の状態を指し事態の悪化を防ぐために介入に急を要する状態を言います。
新型コロナウィルスの場合すでに感染が国際的に広がっていて、WHOとしても「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態にあたる」と事態の緊急性の度合いを判断して「緊急事態宣言」を宣言したと思われます。
過去WHOでは「緊急事態宣言」を5回ほど宣言しています。
最近では、2009年の新型インフルエンザのときと2019年のエボラ出血熱にも「緊急事態宣言」を宣言したのが記憶に新しいと思います。
日本での新型コロナウィルスの感染の広がり具合から見ると、「非常事態宣言」よりも「緊急事態宣言」のほうが的確と言えるでしょう。
緊急事態宣言が出た場合に買い物はできるのか?備蓄は必要か?について書いた記事が別にあります。
緊急事態の布告の違い?
さらに聞き慣れない言葉として「緊急事態の布告」というものがあります。
緊急事態の布告というのは、関連する法律に基づき布告されるというもので、次に示す2つの布告があります。
- 「災害対策基本法に基づく緊急事態の布告」
- 「警察法に基づく緊急事態の布告」
いずれの場合でも、布告を行うのは内閣総理大臣となります。
緊急事態宣言が発令されたときに外出する時の持ち物などについて、別の記事で書いています。
神奈川県の新型コロナウィルス対策の「神奈川モデル」を策定して全国に先駆けて開始する緊急医療体について別の記事で書いています。
緊急事態宣言が宣言された場合は、私的権限が制限されることになります。
私権制限については、別の記事で書いています。
まとめ
以上のことを踏まえて簡単に整理すると
- 「非常事態宣言」とは、国家運営が危機的状況に陥った時に宣言する。
- 「緊急事態宣言」とは、非常事態に加え生命や健康に危険が迫っている緊急の状態に陥った時に宣言する。
- 「緊急事態の布告」とは、関連する2つの法律に従い布告される。
いずれも、政府が判断して内閣総理大臣が宣言なり布告を行う。
今回の新型コロナウィルスの現在の状況では、安倍総理が与野党等協議して関連法案の改正を行った上で、「災害対策基本法に基づく緊急事態の布告」を行うという流れになりそうですね。
臨時休校と臨時休業の違いについて詳しく書いた記事が別にあります。